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大昔に、表紙にまゆげ犬、裏表紙に花に埋もれた猫の死骸の写真の「藤原悪魔」を読んで以来、彼の本を何冊読んだだろう。
最新の著書、「黄泉の犬」の表紙には「メメント・モリ」に収められている中洲にうちあげられた死体を食うインドの野犬の写真が使われている。
私が最初にこの写真を見たのは数年前の写真展。目にした途端、「ニンゲンは犬に食われるほど自由だ」というキャプションとともに強烈にインプットされた。
「黄泉の犬」では、私がベッドサイドに置いてしょっちゅう眺めている「メメント・モリ」に収められているガンジス川で死体を焼く様子や、犬が死体を喰らう様子を撮影したいきさつと、その時の想いが詳しく説明されている。
藤原新也を好きな理由は沢山あるのだけれど、何より彼の示す生と死の風景が好きだ。
「メメント・モリ」の最後の写真は、この世を去る時に目にしたい最後の風景。
でもそれはかなわない夢。
だから写真を眺めて一生懸命まぶたに焼き付ける。
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