Saturday, April 12, 2008

要するに、どん底

『どん底』 シアターコクーン

昔、異なる複数の人から「もう暗くて、救いがなくて参った」と聞いていた『どん底』。

戯曲を読むのは余り得意ではないこともあり、原作は未読。

ケラがそんな『どん底』を、どう演出するのか興味をそそられて見た。

正にケラの芝居で、結構、笑いながら見ていたのだけど、
しっかり『どん底』だった。

本人達が笑って過ごしていようが、
『どん底』は『どん底』。

「幸せなんて気の持ちよう」とか言ってみても、
『どん底』である事実は変わらない。

ロシア文学でお馴染みの重くて、暗くて、終末論的で、寒い空気。




色々と考えることがあって面白かった。

こうやって綺麗な劇場で芝居として見ていると、
本当に遠い遠い、あり得ないようにみえる世界だけど、
実は落ちるのはそんなに難しくないと思う。

気付いたら底の住民になっている、なんてことはざらにあると思う。

私はそれに抵抗する。

意識的に、はっきりした意志をもって、落ちるものか、と踏ん張ろう。




売っていた『どん底』Tシャツ。
色と形は可愛かったんだけどね、
前が『どん底』、背中は"Working Poor"
さすがに着る勇気なす。




(江口洋介ってえらくかっこ良いのね。私は舞台でみる段田安則がとてもセクシーで好きなんだけど、今回は老人役だったので残念)

5 comments:

Anonymous said...

ロシア文学はチェーホフとかツルゲーネフはすきなんだけど、どん底含めて長編は読んだことがないっす。

江口洋介って舞台もやるんだ。しかも純文学の翻訳を?すごいね。トレンディ俳優だと見くびっていた。それだけで見たくなってきたよ。それにしても、暗そうな内容やね。

mikko aka Jennyanydots  said...

>シスター

私も江口洋介ってテレビの人だと思っていたので、見直した。全体的にテンション高めで、あまり陰影というものは感じなかったけど、でもかっこええし、目がそっちへいく感じ。華があるね。

暗いよ~、『どん底』。
もう、タイトルまんまよ。

これ以上、ひどくなることはあり得ない、と思っていると、ところがどっこい、さらにひどいことになるんよ。

夢も希望もない、んじゃなくて、夢と希望を持ったことがさらに堕ちる原因になるっていうのが怖い。

シリアスな劇で見せられたらたまらんよ、これ。

Anonymous said...

『どん底』は戯曲じゃなかったと思うので、それにそんなに長くないので、読んでみるのもいいかも。ゴーリキーは苦い現実を笑いのめすような書きぶりが多いね。ペンネームも「苦い」って意味らしい。

Anonymous said...

上のコメントは、るふるです。めんどくさいのでアノニマスを選択した。

mikko aka Jennyanydots  said...

元は戯曲じゃないのか。

私が手に取ったのは脚本形式になっていて、今回、ロビーで売っていた原作も脚本だったから、てっきり戯曲なんだと思ってた。

探してみるね。

この舞台は結構、登場人物の役割とか変わってたり、原作には出てこない人が登場しているみたいだから。

(何でこの人出てくるの?と登場に必然性を感じなかったキャラクターが一人いて、それが創作されたキャラと一致するか興味ある)